窓の向こうに明るく晴れた空。
陽射しは暖かそうだが、夜中に降っていた雪が屋根にそのまま在るし、時々風花に
なって舞っているところを見ると、冷えもやはり残ったままなのだろう。
今日は一度も外に出ていないばかりか、窓すら開けていないので、どのくらいの
気温なのかわからない。
寒いのだろうな。
クリスマスに街へ出るなんて愚の骨頂だ。
浮き足立った奴らが道を塞ぐ歩き難い人込みと、能天気な音楽しかない。
そんなとこが大好きだぁって奴もいるのだろうけど、俺は嫌いだ。
起きているのか眠っているのか判らない、真昼の中で夢を見ているようにしているのが
休日の過ごし方としては一番良い。
眠りの中ではままならない夢も、現の上の夢なら好き勝手できる。
年末年始の休みはどう過ごそうか。
楽しいばかりの、予定にもならないような計画を立ててみたり。
……まだ学生達がぎりぎりに提出してきた論文も読んでいないし、大掃除のおの字も
済ませていないけどな……。
そういえば、よく「良い夢を」なんて夜に別れる時の挨拶を聞くけれど、
良い夢なんて見た覚えがない。
アリスは時々寝ながら笑ってるけどな。
ガキみてぇだなんて思ったけど、良い夢を見てるってことなんだろうか。
羨ましくなんかない……てのは負け惜しみになるのかな。
記憶に残る夢の中で、俺はいつも一人きりだ。
誰も助けてはくれないし、誰も守ってくれない。
そして、誰も俺を止めてはくれない。
同じ夢ばかり何度も見るということは、夢の通りにするのが俺の願望だと
示しているのか。
それとも、決してそうしてはならないという、戒めなのか。
何年経ってもそれすら判らず、ただ繰り返すだけなんて、情けない話だ……。
外は寒いのかな。
空しか見えない、開けない窓なんて長いこと見てるものじゃないな。
明るい真昼なのに、暗い真夜中みたいに、自分だけしかこの世にいない気がしたりする。
……誰か上がって来た。
「お邪魔するで」
アリス。
もしかして俺はおかしな顔をしていたか?
おまえの少しだけ顰めた眉は、けれどすぐに笑顔に戻った。
「Merry
Christmas !」
かけられた声に、 Holy
Bright なんて言葉が浮かんだことは秘密だ。